補助金制度の実情

まちづくりには多くの補助金制度があります。
しかし、その多くは適正に活用されていません。補助金が無ければ事業を実施しない、というケースが非常に多いのが実情です。

そもそも補助金とは何でしょうか。補助金とは本来、「事業の実施を補助する」ためのものです。つまり、事業を開始する時や、事業をブラッシュアップするための支援策です。しかし、実際には「補助金があるから何かやってみよう」という動機で使われるケースが多く見受けられます。

日本の多くの自治体では、まちづくり団体に対する補助金制度が設けられています。しかし、仮にそのうちの8割が適切に活用されていないとすれば、これは大きな社会的な課題であると言えるでしょう。
この問題を解決するためには、補助金を「使う側」と「提供する側」の双方が、制度の本来の趣旨や目的をしっかりと理解し、意識と仕組を変えることが重要です。この変化によって、補助金制度はより効果的に、そして持続可能なまちづくりの推進に役立つものとなるはずです。

本来の使われ方をするために

補助金活用において特に重要でありながら、多くの人が見落としているのは「2回目以降の収支案」です。
初回の補助金を活用した収支案だけではなく、その後の収支計画を立てることが事業の継続性を担保します。残念ながら、補助金制度の多くには2回目以降の収支計画を明確に求める規定がない場合が多いのです。

弊社の人材育成制度では企画を実施する際、必ず2回目の収支案を作ります。
企画から戦略に変わるのは、2回目の収支案があるかがポイントとなります。

収支計画については、経験のある人が見れば現実的で理想的かを判断できます。実際、私も審査員を務める中で、まちづくり系の提案においては非現実的、あるいは理想的ではない収支案が非常に多いと感じています。

補助金が毒となることも

補助金を活用すると、短期的には大きな事業を実施できるためメリットがあるように見えます。しかし実際には、ゼロからイチを生み出すためには非常に大きなエネルギーが必要であり、補助金がなくなるたびに事業をやめてしまうと、毎回ゼロからイチを繰り返すことになり、これはエネルギーの無駄遣いであり非効率的です。

それよりも、最初は小さくとも補助金に依存せず、少しずつ自走できる仕組みをつくりながら事業を育てていく方が、長期的にはプロジェクトにとって明らかなプラスになります。
事業を掛け捨てではなく、投資に変えていく事が重要です。

補助金に対しての意識が重要

補助金に対する意識も非常に重要です。
補助金を出す側は事業の自走化(収益化を含む)を期待しています。
自走化の仕組みを作る意識を持っているか否かで、事業計画や持続可能性が大きく異なります。
自走化を考えていない人に補助金を与えても、事業は継続しません。一方で、最初から自走化を考えながら補助金を活用する人は良い事業となり、継続率が非常に高くなります。
補助金とはあくまでも長期的プロジェクトの初期段階で使うべきものですが、その意識を持っている人は少数派です。

補助金制度より人材育成制度

補助金制度よりも重要なのは、人材育成制度です。
遅かれ早かれ、補助金を使う力よりも、補助金額に相当する収益を自ら生み出す力がないと、事業の継続は不可能だからです。
しかし、現在のまちづくり活動、支援制度では、この点にフォーカスされていないことが大きな課題です。
例えば、初回に50万円の補助金を得て事業を行い、2回目以降は実施しないケースと、最初から補助金に頼らずに50万円の収益構造を生み出し、継続して事業を実施するケースとではどちらが支援策として良いかは言うまでもありません。

人材育成制度について

弊社が実施している人材育成事業では、まさにこのような仕組みを実現しています。
人材育成制度では収益化を図るだけでなく、企画力やプロジェクトマネジメント力を高めることも目的としており、事業自体の質を向上させています。

弊社の人材育成制度の具体的な事例を挙げると、ほとんどの人材育成プログラムにおいて補助金や賞金はありませんが、それでも事業の実施を成功させています。
また、補助金・賞金の不採択者に対して伴走支援を提供し、結果として補助金・賞金以上の広告協賛を得ることができています。

さらに、目的から事業を見直し、事業再構築を支援することにより予算を下げ、その予算相当額を新たに生み出しています。
また、自治体が独自の補助金を設けなくても、全国には国や民間が提供する多くの補助金が存在し、それらを活用することで自治体予算の削減が可能です。弊社では毎週多くの補助金情報を支援者に提供しています。
削減した予算を人材育成制度に投入した方が、長期的にははるかに効果的です。

最も理想的なのは「人材育成制度」と「補助金制度」を組み合わせて活用することです。補助金を活用することで新たな事業にチャレンジしやすくなり、事業をブラッシュアップする機会も得られます。
ただし、補助金に対する正しい意識を持ち、人材育成制度を組み合わせて活用することで、より良い事業が創出されます。
つまり、補助金は意識次第で「薬にも毒にもなる」のです。


この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
伴走支援では、プレイヤーの事業を通してノウハウを活用し支援・育成を行っております。