「段取り八分」という言葉は、まちづくりの企画にもぴったり当てはまります。

まちづくり活動の収益構造は、利益が対価であることが重要です。
・利益は、活動で得た収益の合計。
・対価は、提供した活動量に相応する収益。活動量に「対応した値」であることを常に意識する必要があります。(参照:なぜ、まちづくり活動の多くが長く続かないのか)

対価を考える上での大きなポイントの1つが「時間」になります。
対価を得るのに不可欠な時間は、段取り次第で大きく変わります。
特に忘れがちな経費に「自分の人件費」があります。

10万円の利益を得るのに、使った時間が10時間なのか100時間なのかで収益単価は大きく変わります。時間が短ければ、他の活動に時間を充てる事ができ、違う利益を得ることもできます。段取りを良くすることで、人件費を抑えた収益構造を構築できます。


そのためのポイントは「事前予測」と「相手の時間調整」です。
特に、相手の時間調整は多くの方が出来ていないように感じます。

基本、人の時間は思い通りになりません。自分の時間軸だけで物事を進めることはできません。相手の時間に配慮し、なるべく早くスケジュール調整することが段取りにおいては重要です。

 

事例をいくつか紹介します。

【事前予測①】イベントの出店者が50店舗あるとして、イベント本番に向けて必要な情報を集める場合は一度で集約できるように質問項目を十分にまとめておく。もし漏れがあれば、再度全部の店舗に連絡する必要があり、更に漏れがあれば、必要な時間が2倍3倍と膨らんでいきます。

【相手の時間調整①】自治体などのプロポ―ザルに応募し、採択から納期までの期間が短い案件の場合、採択されることを想定して事前に段取りしておくことが重要です。採択が決まってから関係者全員を集める会議を開くことは難しいので、採択発表から数日以内に関係者との会議を仮予約しておくといいでしょう。クリエイターも採択後に依頼してもスケジュールが埋まっている可能性が高いので、採択前に仮予約しましょう。
採択後にあわててオファーしても、相手の予定が既に埋まっていて会議が開けず、2度3度の説明や調整に大きな時間を要します。

【相手の時間調整②】
イベントに出店することが決まった店舗を対象に最終説明会を開く場合、出店確定後に全出店者の予定を調整することは非常に困難で時間を要します。相手方との調整に時間が取られる上に、説明会を複数回開くことになるでしょう。
解決策は簡単です。事前の出店申し込み資料に、最終説明会の日程をあらかじめ記載しておけば、調整時間はゼロで済みます。説明会の開催数も最小数で済み、時間を大きく節約できます。もし参加しない出店者がいても、それは申し込み時から決まっている日程なのでクレームにもなりません。 

段取りよく進められると、仕事のクオリティも上がります。
効率よい段取りで仕事の質が上がる事例を紹介します。

・だれかにタスク依頼する場合、単純に納期に間に合う締切を設定するのでなく、タスクに対して可能な限り最短の締切を設定する事が重要です。発注先は納期に余裕があると、今すぐやらなくても良いと考え、最悪の場合は忘れてしまいます。締切までの日程を短くすれば、失念のリスクは減らせます。発注側は時間に余裕をもった締切を設定することで、万が一、相手の納品が遅れた場合でもリカバリーする時間を設ける事ができますし、仕事の抜けが減ることで全体のクオリティが上がります。

・イベント当日には紙とペン、A型看板(あれば)を予備で用意しておきましょう。 
イベント当日には予測もできないトラブルが起こります。出店店舗のメニュー看板がない、人の導線が悪くて案内板が必要…などなど。事前に段取りをしておけば、状況に応じて臨機に情報を追加することができ、イベントのクオリティが上がります。 

 

段取りの良さは、様々な場面で効果を発揮します。
段取りが良くなるほど

・スピードが上がり「対価」を得やすくなる

・クオリティが上がり、イベントやプロジェクトの「価値」が向上し、結果的に収益単価が上がる

段取りの良さは、収益構造の構築に大きく貢献します。
収益構造を構築するには「段取り八分」「自分の人件費を考える」、この2点が重要です。


この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
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