まちづくりプロジェクトは複数人が集まって立ち上げるケースが多いですが、実はできるだけ最少人数で始めた方が良いものになることが多いです。
スタートラインの段階では1人がベストです。
これは憶測ではなく、私が経験から得た教訓とプレイヤー育成での様々なプレイヤーの結果からの考えなので間違いありません。

弊社が実施しているまちづくりプレイヤーの育成事業の一つ「学生まちづくり班」を例に説明します。


学生まちづくり班は学生が自分のやりたい事を予算ゼロから企画を立ち上げ、弊社らのメンター陣のアドバイスを受けながら毎年10件以上のプロジェクトが形になっています。毎年の流れを見ていると、複数人で始める企画より最少人数から始めた企画の方が圧倒的に成功しています。音楽イベントの開催を目指した4人がチームになったプロジェクトは、途中でそれぞれの音楽性が合わなくなって全く進みませんでした。これは一例ですが、企画の軸が定まらないうちに仲間を集めることでつまずき、失敗する例は非常に多いです。

なぜ複数人で始めるのか。メリットを考えてみましょう。

「仲間が多い方が様々な知見、人脈を活用できる」
 >正解です。

「1人だと不安になる」
 >確かに不安になります。

「人数多い方が、プロジェクトが大きく見える、期待感が増える」
 >これも正解です。

対して、複数人で始めるデメリットも考えてみましょう。

「スピードが遅くなる」
>1人なら決めた瞬間決定。2人以上なら話し合いが必要になるので、数百倍~数千倍遅くなります。

「企画がブレる」
>発起人がやりたい事ができなくなるケースが生じます。仲間と方向性が完璧に一致する可能性は低いです。

「無駄な管理コストが増える」
>タスク(仕事)を伝える、分担する事も大きな業務負担。業務量に対して適正人数であればよいですが、過剰であれば無駄なコストが生じます。

「収益構造が構築しにくい」
>仲間の人数が多いと、分配による1人当たりの利益が少なくなって収益構造の構築が難しくなります。過剰な人数の場合不要な人件費になります。
また、ボランティアで活動したい人、稼ぐ事に抵抗のある人がいると収益構造の構築がやりにくくなるリスクも生じます。

ほかにも、人数が多くなると自分がやらなくても誰かやるだろうという気持ちが生じ、結果的に全体の活動が停滞する傾向があります。

このように人数が多いことのメリットはありますが、デメリットは更に多くなります。
メリットをどう感じるかは個人差がありますが、デメリットは確実に生じます。
これらのデメリットを見落としている方が多いです。
仲間を集める際にはデメリットがある事を理解し、仲間を加える事でデメリット以上のメリットが生まれるか、プラスとマイナスを考える事が大事です。
マイナス(デメリット)からの計算をすることが肝要です。
そうすれば、過剰で無駄な仲間は増えません。

ただ、仲間は必要です。
ここからは、仲間を集める際のポイントを紹介します。

基本は最少人数です。不特定多数に仲間を募ることはやめましょう。
よく、友達と一緒に始めるパターンがありますが、多くの場合は企画内容に賛同するというより、普段から一緒の友達だからという理由で一緒に始めているケースが多いです。 
悪い事とは言いませんが、途中で企画に対しての価値観が合わずに誰かが離脱することは少なくないです。

企画内容に中身があって中心人物にやる気と行動力が備わっていれば、賛同する人が99.99%の確率で集まってきます。この人たちは「気の合う友達」ではなく「価値観の合う仲間」です。初対面だと最初は互いに信頼をすぐには得られないかもしれませんが、価値観を共有できる仲間であれば時間が解決してくれます。一見、信頼できる友達の方が最初は頼もしく感じるかもしれませんが、活動の価値観が合わないとトラブルが生じます。
友達は大切ですが、プロジェクトを進める上においては価値観が合うかどうかが一番重要になります。

プロジェクトを進める上で生じるミッションの多くは、多くが「連携」でことたりる事が多いです。弊社で行うプロジェクトの担当者は1名がほとんどで、多くて3名です。
一緒(仲間)でなく、連携という関係の構築で多くはスムーズに進めることができます。
※参照:まずは「一緒」より「連携」


もちろん、プロジェクトの中身によっては仲間を募る必要な場合も出てきます。
その場合、集めるタイミングが重要です。
プロジェクトの軸(コンセプト)をしっかり固めてから募集して下さい。
軸が定まらないうちに仲間を集めるケースをよく見ますが、お薦めはしません。

例えば、中心市街地活性化をするためにプロジェクトの仲間を募集するとします。

❶中心市街地を盛り上げるプロジェクトの仲間募集
❷中心市街地を「食」で盛り上げるプロジェクトの仲間募集
❸中心市街地を「そば」で盛り上げるプロジェクトの仲間募集

❶たまに見ます。仲間が集まったとしても何も決まらず、動かず、失敗するでしょう。
❷は「食」というテーマは決まっていますが、まだぼんやりしています。仲間が集まってから食のテーマを深められずに失敗するか、集まった仲間が離脱してからのスタートとなり、無駄なエネルギーを使うことになるでしょう。
❸はテーマが明確であり、❷より価値観の合う仲間が集まり、プロジェクトも進みやすいでしょう。

仲間を集める前にとことん最少人数で考えを深めて、自分がやりたい事の軸を固める事が先決です。

仲間(=組織形成)は、プロジェクトにとって非常に重要です。
何度も強調しますが、最初は最少人数でスタートする事をオススメします。
ずっと最少人数でやり続けろという意味でなく、まずは最小人数で始めて軸を固める、価値観の合う仲間を集める、仲間を集める際にはマイナス(デメリット)から計算して過剰にならない事が重要です。
組織形成の入り口となる仲間集め。
この段階で成功するか、失敗するかは大きな岐路になります。
スタートラインで既に失敗の方程式に陥らないよう気を付けて下さい。


この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
伴走支援では、プレイヤーの事業を通してノウハウを活用し支援・育成を行っております。