プロとして対価を得る活動を構築する「プロプレイヤー学」

一般的にまちづくり活動は非営利目的で行っており、報酬の対価を得て活動しているものは非常に少ない。 まちづくりプレイヤーを「アマチュア」と「プロ」に分けて考える。
プロプレイヤーとは、プロとして報酬の対価を得て本業、または副業で活動を行う人材を指す。「プロプレイヤー学」はその人材育成を行うノウハウである。 
まちづくり活動が継続・拡大しない一番の要因は、活動に応じた対価を得られていないことによる活動疲れである。 
対価は主に、他人の役に立つ、喜んでもらえた「自己有用感」や「報酬」になる。
自己有用感が強く対価が無くても活動が続けられるという人もいると思うが、生活環境、考え方、有用感の定義など人によって変わる為、ノウハウにはならず誰もが使えるノウハウにはならない。
誰もが同じ価値のある対価は「報酬」である。
仕事の関係対価を得る事ができないなど、報酬の対価が不要なプレイヤーもいるが
関係者へ報酬を支払い活動負担を軽減したり、事業への投資などに充てられる為、報酬の対価を得られるに越した事はない。

ここで対価と利益の違いに注目したい。
利益は、一定の期間内に得た収益の合計に過ぎない。
対価は「相手に提供した労力に値する利益」という意味。常に活動量に対してバランスが取れた収益になっているかを考える必要がある。
対価を得ることで、以下のようなメリットが生まれる。
・自分や組織に責任感が生まれ事業のクオリティが上がる。
・事業に付加価値を付けるようになる。
・事業構築の発想に生産性が生まれる。
・収益が生まれ事業が継続・拡大できる

同じプロプレイヤーにおいてもトッププレイヤーの創出、レベルアップを図る取り組みも重要である。
日本のサッカーはJリーグが発足し、選手がサッカーに費やせる時間が増えた事でトッププレイヤーのレベルが向上した。トッププレイヤーのレベルが向上すると、中高生や子どもたちの指標のレベルも高まり、その結果、サッカー界全体のレベルが底上げされた。
まちづくりも同じである。プロプレイヤーとして行うトッププレイヤーのレベルが向上する事で、まちづくり活動の指標となるレベルが高まり、全体のレベルがボトムアップされる。たった1人のトッププレイヤーは、地域とプレイヤーに大きな影響を及ぼす。

誤解してほしくないのが、まちづくり活動を全てプロプレイヤーにするべきだという考え方ではなく、サッカーと同じでアマチュアが基本であるが、ほんの一握りのプロも生まれることが大事であるということである。 まちづくり活動はサッカーのようなプロが殆どいない。

プロプレイヤーを育成するノウハウはビジネスと異なる部分が多い。 
ビジネスとプロプレイヤーの大きな違いは、営利目的か非営利目的かである。
ビジネスもプロプレイヤーも継続できれば行きつ先は「社会に貢献する事業」である。 
営利目的でスタートしても社会に貢献する事業でなくては継続・拡大はできない。 
非営利目的でスタートし社会に貢献する事業であっても稼げなくては継続・拡大できない事が多い。 
「プロプレイヤー学」とは非営利から始まるまちづくり活動を、対価を得るプロに導くノウハウである。 下記はノウハウの一部。 
・まちづくり活動は非営利の為、組織形成をビジネスとは逆で過剰な人員、曖昧な上限関  係や報酬制度になってしまい、組織がうまくまわらない事が多い。 
稼ぐ概念の重要性を知っていただき、非営利に適した効率的な組織形成法を伝える。
・まちづくり活動では、やっかみ、圧力などから活動の縮小、消滅が少なくない。 
対象方法を事例をもとに伝える。 
・まちづくり活動は稼ぎにくい。
まちづくりの非営利の利点を活かした協賛企業の取り方を伝える。 


「補助金制度」より事業を構築・拡大させる「人材育成制度」

行政はまちづくり活動に対して多くの補助金制度を有しているが、その成果は十分だろうか。補助した後の事業の継続率はどのくらいか? 補助金の要件に合わせた事業をやっただけで、本当にやりたい事だったのか、そこに意味はあるのか?
与えられた補助金を消費する事は誰にでもできる。遅かれ早かれ、補助金なしでも自走できるように支援したいが、そもそも補助金を受ける側にその意識はあるのだろうか。「補助金がないから事業が実施できない」と市民側が依存状態になるケースは少なくない。補助金は使い手の意識次第で薬にも毒にもなる。

一過性の事業でも活動の継続、拡大する為のものであれば良い。
例えば、活動の連携先を拡大する為のシンポジウムの開催。 情報を届ける為の情報発信プラットフォームの構築等。 大事なのは俯瞰して活動の拡大、継続に繋がる投資になっているかである。

まちづくりの活動に補助金を出すよりも、まちづくり活動を通じて同等の金額を生み出せる「人材育成制度」の方が数十倍の価値がある。
 
人材育成制度と補助金制度を連携させる事ができれば、持続可能なまちづくり活動につながる可能性が高まり、補助金制度の効果を大きく高める。ただ、全国的に見ても行政が人材育成制度を実施するケースは稀だ。

補助金は活動の持続性を考慮して適正に活用できるプレイヤーがいて初めて意味を成すが、そのような人材は少ない。予算が500万あるなら、目先の事業を支援する補助金制度より、長期的にプレイヤーを育てる人材育成制度に投じた方が良いと断言できる。100万円で5つの事業を補助して、次回に補助金なしでも継続できる事業がいくつ生まれるだろうか。それよりも、100万円で5人のプレイヤーを育成し、行政の補助金がなくても自走できる事業を生み出した方が継続率は高くなる。実は、補助金がなくても自走できる事業の方が長いめで見ると、大きな規模に成長することが多い。

1つ事例を紹介しよう。とある自治体では、複数大学の学生による合同学際に予算500万円を充て、大学生メンバー70人がスイーツのイベントを行った。
対して、弊社で行っている「学生まちづくり班」では毎年10件程度のプロジェクトが学生主体で生まれているが、ポイントは学生に予算(補助金)を一切与えず、基本1人から活動を立ち上げている。弊社らのメンター陣は、学生の相談に乗る「伴走支援」のみを行っている。とある学生が1人で始めたプロジェクトは、最初はまったく予算がなかったが、熱意を伝えて連携先を増やし、企業から協賛金を集め、結果的に先の合同学際の10倍以上の規模に成長した。予算0円の大学生1人が予算500万円の大学生70人で行った事業の10倍以上の規模である。大事なのは、行政から与えられる予算の使い方を教える事ではなく作り方、プロジェクトを自走するための予算をゼロから生み出す方法を教える事である。最初の合同学祭のような過剰なメンバー数は、個々の責任感とスピード感を低下させるデメリットが生じやすいことも覚えておいた方がよい。

このように、同じ予算でも補助金制度より人材育成制度に充てた方が、自走できる良い事業が生まれる。まちづくりにおける補助金制度は、一度見直す事が必要だと考える。
まちを一つのレストランだとすると、美味しい料理を作る目的の下、目先の具材(=単発の事業)には予算(補助金)を与えるけど、料理人(=まちづくりプレイヤー)の育成には予算を与えないのと同じこと。優秀な作り手が生まれないうちは、美味しい料理もできない。具材が美味しくなるかは(=継続・拡大するかは)料理人の腕次第だ。

補助金制度は国、都道府県、他の課、民間において活用できるものが様々あるため、まずは人材育成度に予算を充て、補助制度は他のものを活用する事ができれば、予算の効率化を行える。

 

プレイヤーは民間の方が向いている

行政が抱える様々な地域課題を、行政の力だけで解決するのには限界がある。
地域課題は、解決に向けて立ち上がる1人の情熱から始まり、多くのトライ&エラーからノウハウを学び、ネットワークが構築され、事業が成長するサイクルが回り始める。
人事異動を繰り返す行政の性質上、担当者が代わってしまうと情熱、ノウハウ、ネットワークを完全に引き継ぐことはできない。課題解決に立ち向かうプレイヤーは、民間の方が圧倒的に向いている。
また、事業の成長にはスピード、柔軟な変化、現状を突破する「尖り」が求められる事が多いが、これも民間の方が向いている。
行政はプレイヤーを育むプロデューサーであるべきだと考える。
演劇に例えると、行政はステージ(演台、音響、照明など)を整える立場。そこで演技するのがプレイヤーだ。ステージが良ければ、プレイヤーは高いパフォーマンスを発揮できる。
よりよいステージを整えるための具体的な行政の役割は、情報提供、ネットワーク紹介、連携促進、行政インフラの活用、制度構築など。さらにステージを輝かせる方法の1つに、弊社のプレイヤー育成事業がある。

行政がまちづくりの方針を決めたとしても、その方針に賛同し、参画する民間がいなければ、その方針は失敗する可能性が高いだろう。
「やらない人たち(行政)が、やる事を決める」ではなく「やる人たち(市民)が、やる事を決める」とプロジェクトは動く。プレイヤーは民間の方が向いているという理由だ。
ただ、数多くある民間のプロジェクト全てを行政が支援する事は難しい。
覚悟を持って活動し続け、伸びているプロジェクトとプレイヤーを見つけ、「民間主導行政後押し」で支援する形が理想だと考える。

 

プレイヤー育成の現状

地域課題の解決に向けてプロプレイヤーの育成が必要だが、特にソフト事業を生み出せるまちづくりプレイヤー育成事業は進んでいないように感じる。たまに、プレイヤーの育成に繋がらない行政のまちづくり事業も散見される。
例えば、最初にみんなでチームを作り、やるべきことを決めて進める方法。これは成果物が妥協したもの、抽象的なものになり、結果に対する責任の所在も曖昧になり、参加者に覚悟も生まれにくい。人数が多いがゆえの合意形成のプロセスが繰り返されることで、スピード感と事業内容の「尖り」が鈍り、やがて動かなくなる。最初は多かったメンバーも動かない組織には関心を失い、「やりたい事ではない」「対価を得にくい」などの理由から段々と姿を現さなくなり、組織が空中分解する事は少なくない。

理想は、発起人の1人が覚悟と責任を持ってやりたい事を始め、それに賛同するメンバー、関係者が徐々に集まる形だ。

今まで多くのプレイヤー育成事業を行ってきたが、最初に挙げた「みんなで仲良く一つのこと行う方法」では数回の事業実施が限界で、事業が継続、拡大した事例を私は知らない。
みんなで一つの事をやろうという風潮はいまだにあるが、まちづくりプレイヤーの育成としてはスタート時点で失敗していると言っても過言ではない。

実は、事業をスタートさせるだけならノウハウはほとんど必要がない。私を含め、多くのプレイヤーは1回目の事業を粗削りではあるがノウハウなしで成功させている。
ただ、その1回の成功は、労力に応じた対価(採算)を得るには程遠く、効率が悪く、人件費を費用換算していない、収益性は度外視、クオリティが荒い、リスクヘッジが成されていない、といった沢山の課題を残していることが多い。ノウハウとは、それらの課題を解決して1回の成功を次につなげていくための継続、拡大に必要なものである。

初めての方に過剰なノウハウ提供を行うと、混乱させ、せっかくの勢いを阻害してしまったり、モチベーションを下げてしまったりするケースがある。こうした理由なら、初めてのプロジェクトに取り組む人には必要最低限のノウハウ提供がよい。過剰で且つ正しくないノウハウ提供は、プレイヤーにとって一番重要である行動する意識を止め、成長を阻害してしまう場合があることに注意すべきだ。

まちづくりの事業案を考えるとき、本来はシンプルで自分がやりたい事であることが最良なのに、妙なノウハウを押しつけられることで事業案が複雑になり、自分がやりたくもないものに変容してしまう事がある。
プレイヤー育成の第一歩は「行動あるのみ、やりながら修正する」「難しく考えるな、必ずできる」という精神的なサポートが重要。伴走支援をする中で、段階に適したノウハウをその都度伝えて行く方がよい。

妙なノウハウの「押しつけ」が起きる要因の1つには、プレイヤーとしてまちづくりを経験したことない人が、プレイヤー育成を担当している事にある。例外はあるが、基本的に人はやったことのない事を教える事はできない。活動経験がないと▽具体的なやり方▽効率の良いやり方▽テクニック▽起こりうるリスク▽意識の持ち方▽予測される流れ▽事業者選定方法などの具体的な「手法」を教えられない。プレイヤーが必要としているのは、抽象的な方針より、より具体的な「手法」だ。 
場合によっては、本質的には成功していないまちづくりの事例が、あたかも成功事例のように提示されているケースもあり、そのノウハウの横展開も危険である。例えば、先ほど紹介したような「みんなで集まって会議を繰り返し、一つの方針を決めた」のような事例は、成功したかのように見えるかもしれないが、実際はその後に何の展開もないというような事もよくある。それぞれの事例は、しっかりとその後の展開までを確認して意義を判断する事が大切である。

 そのほかの課題としては、まちづくりにおけるソフト事業は、ビジネスとして定着せず、プレイヤーが対価をえるだけの仕事レベルになっていない事もある。形がある建物や土地などと違い、形がないソフト事業のノウハウ化は容易ではなく、弊社では引き続き、ソフト事業のノウハウ化について研究している。

 

プレイヤー育成には民間、行政の両者に課題がある

■民間の主な課題
・行政依存によって意識が低下し、事業が生産性を失う。やがて行政とも距離ができる負のスパイラルに陥る
・補助金依存。補助金が無くなる度、事業構築のために貴重な時間と労力を新たな補助金探し費やすことの無駄に気づいていない。事業は単発で終わり、まちに資産化されない。
・稼ぐ事が悪いことだと勘違いしている。または稼ぎ方が分からない。
・組織の在り方が責任感と生産性を失っている。
・企画、広報、活動等の運営に関するノウハウがなく、事業の継続・拡大ができない。

■行政の主な課題
・継続性のない事業にも補助金を与えてしまい、優秀なプレイヤー育成に繋がらない。補助金が逆にプレイヤー育成を阻害しているケースが多い。 
・人材育成度が導入されていない。人材育成制度の価値が過小評価されている。

 

プレイヤー育成事業について

「プロプレイヤー学」をもとに、実践者の専門家と共に課題に沿ったプレイヤー育成パッケージを構築します。 プレイヤー育成は講座と伴走支援の2本柱で進めます。
プレイヤー育成はスポーツと同じです。優秀なプレイヤーになるには
経験:圧倒的な現場での経験数(練習量)。
知識:コーチ、本等から技術や関連するノウハウを得る。
まちづくり活動も同じで経験(練習)をしないと上達しませんが、コーチの指導とノウハウがある事でその質とスピードが向上します。 スポーツのようにノウハウが確立されていないまちづくり活動ではその差が特にあらわれます。
プレイヤー育成にはある程度の時間を要します。 職種や経験値により様々だが、初心者なら自走できるまでには3年間は伴走支援を行わないと難しいでしょう。ただ、これまでにまちづくりに関わった経験が豊富な方であれば、1年で可能な場合もあります。

弊社で行うプレイヤー育成は、プレイヤーが取り組む事業の伴走支援を重視しています。仮に育成事業の参加者が複数いたとしても、参加者が一同に集まる例会の機会は設けない場合もあります。事業1分1秒進んでおり、鮮度とスピードが大事。小回りで対応する必要があるため、月に1回程度の例会では効果的な伴走支援は行えません。
例会を開く場合の役割としては、講座による共同勉強会やプレイヤー同士の連携模索、モチベーション向上のためであり、それだけで各自の事業推進は望めません。
講座後に少人数でディスカッションすることが大事です。 学んだノウハウに対して不明点、自身にどう落とし込みか、講座に関する活動での悩み事の共有と解決方法などを話し合う事で、表面にあるノウハウの情報が身体に浸透しやすくなります。 

弊社では、様々な知見を持ち、まちづくりを実践してきた複数の専門家と契約を結んでいます。その分野はまちづくり活動、組織形成、企画構築、広報、収益構造構築、DX化、観光、体験商品、プロダクト開発、リノベーション、動画制作、SNS戦略など、多岐にわたります。各専門家による講座の実施、参加者の相談内容に応じてオンラインでの伴走支援の対応も可能です。
今後のプレイヤーの多様な相談に応じられる専門家を増やしていきます。


講座内容について

課題、対象者によって講座の選択、内容の変更を行って実施しております。
伴走支援を実施する場合は、伴走内容に応じた講座を提案させて頂いております。
・プロプレイヤー向け
・学生向け
・子育て向け
・イベント向け
・商店街向け
・行政向け
プレイヤー向け講座紹介

 

伴走支援の内容

まちづくりのノウハウの習得は実践あるのみ。スポーツのコーチのように伴走支援し、参加者自らが立ち上げる活動を通じてノウハウを浸透させ、プレイヤーと事業の両方を育成します。まちづくりのノウハウは、すぐには身体に染みつかなくて活動に反映できないことも少なくありませんが、伴走支援型で学べば「なるほど、こういうことか」と気づきもどんどんと早くなります。自身の事業にノウハウをどう活用するかが重要です。

以下に伴走支援のポイントの一部を紹介します。
(1)プレイヤーに予算を一切与えず、生産性と自走の可能性を高める。
(2)ノウハウは事業の段階に合わせて伝える。ノウハウの押しつけは育成を阻害させる。
(3)ノウハウは1つの手法であり、成功までのプロセスは無限。ノウハウを強要しない。
(4)マインドサポートの実施。 まちづくり活動特有の考え方、トラブルがある。
(5)参加者のみ動画講座を公開し、必要なノウハウをいつでも習得できるようにする。

 

主なノウハウ紹介

ノウハウは1つのやり方に過ぎない。成功する方法は無数にある。
10という答えを導くのは5+5、2×5、10000-9990など無数にあるのと同じ。
弊社では計算しやすいノウハウを提供しているが、人によって考え方、やり方は様々である。ノウハウを押し付けず、1つのやり方として提示するが、そのまま使うか、修正して使うか、それとも使わないかは、それぞれのプレイヤーの自由だ。 

ノウハウは、大きく「考え方」と「やり方」に分けられる。
考え方は、ノウハウの根っこの部分。どのような企画にも共通するもので、イベント、フリーペーパー、HP、SNSなどと内容が変わっても、構築する際の考え方は全て同じである。
例えば▽三方良し精神▽動機を意識して構築する▽修正は常に早く▽企画を様々な目線で見直す▽まずは一緒より連携から▽始める時は最少人数から-など。これら考え方(意識)が一番大事で、事業の形にも反映される。これは仕事でも、スポーツでも同じである。
一方のやり方は、企画に応じて異なるため各事業を通して必要なものをその都度伴走支援で伝えていく。
それでは、代表的なノウハウの一部紹介する。

⑴ 行政・補助金依存の脱却
行政依存、補助金依存に陥っているまちづくりは少なくない。素晴らしいノウハウ、伴走支援、予算は受ける側の意識で、その価値は0にも10000にもなる。 
企画構築、プロジェクト運営は根っこにある「考え方」から形成される。ここで間違うと、何をしても良いものは生まれないし、継続しない。
行政依存になっている人の例としては、まちづくり活動は行政の仕事だから、行政は自分の活動を補助して当たり前と勘違いしている場合がある。多くのプレイヤーがいる中で、自分の活動だけが補助されていることは決して当たり前ではない。補助金を出す、つまりは行政に応援したいと思わせる実績と価値を構築する意識が必要である。行政に依存した時点で、プロジェクトは他人ありきになり、生産性を失う。本当は同じ志の下、強い味方になりえる行政が離れていってしまう事は勿体ない。
企業から協賛金などのお金を頂く場合は丁寧に対応するのに、行政から補助金、委託金などのお金をもらう際に丁寧に対応できないならば、それは対価を得るというプロ意識が弱いからである。私からすれば企業も行政も同じ。これも意識の持ち方次第である。
補助金依存に陥っているケースでは、補助金がなくなり継続できず、新たな補助金で新たな事業を立ち上げるといった悪循環になっている事は少なくない。それでは事業が資産化されず活動も残らない。 また、貴重な時間とエネルギーを無駄使いしている事にも気づいていない。 企業ではこのような意識では続かないため、こうした例はほとんどがないが、まちづくりにおいては、多くの人がこの意識のままである。
もし補助金を申請するのであれば、補助金がなくなった後も自走できる戦略を構築し、自走可能と判断した場合のみ活用する方が、活動存続のためには賢明である。
依存した失敗例と依存しない成功例やメリットなどを紹介し意識改革を行う。
また、行政組織を知ってもらって、適正なかかわり方も紹介し意識改革を行う。 
実践してきた者が伝えるため、プレイヤーにも響きやすい。

⑵ 収益構造の構築
まちづくり活動の課題は収益構造の構築である事が多い。
収益化を行うには対価を得る必要があり、対価を得るには様々なノウハウを習得する必要があり、一般的にはかなりの時間を要す。ノウハウは時間をかけて伝えていくが、同時に早く収益化を行える方法「まちづくり活動の媒体化」も伝授していく。 
2021年の日本で媒体費(広告費)は6兆7998億円使われている。媒体の目的は主に、プロモーション、ブランディングとなる。この媒体費をまちづくり活動に充てた方が、効果的であるというノウハウがある。
非営利活動の強みは沢山ある。 地域貢献によるブランディングイメージ、マスコミ取材によるプロモーション、行政インフラの活用によるプロモーション、新たな切り口で接点を持てるなど、他にも様々な強みがあり、それらを活かす事で他の媒体より効果を発揮できる。
弊社ではこのノウハウで毎回20万円~200万円の媒体収入を得ている。 
媒体の販売方法は主に協賛金、出店料、掲載費、CSV(協働事業)に分けられている。
通常の協賛金と捉えるかもしれないが、媒体という考え方にポイントがある。 例えば、10人しか集まらない企画でも毎回25万円のCSVによる収入を得ている企画がある。 
企画のチラシは2万部以上が企業のターゲット層へ届いており、且つブランディング効果も高い企画であるため媒体としての価値がある。 媒体という意識がないと10人の集客にだけで価値を考えてしまい、この発想には至りにくい。
伴走支援での媒体化の成功はもちろんであるが、講座だけで60万円の媒体化に成功した事例もある。
収益構造は人件費、活動費に充てる事ができ活動の継続・拡大に繋がる。

⑶ 企画の作り方
企画は作り方で0にも10000にもなる。 
企画構築の基本的な考え方、ポイント、テクニック等を紹介し、良い企画と業務効率化を行えるようにする。
例:企画は▽勇気をもって絞る▽ペルソナ設定▽常に3つの視点で見る▽参加者向けの言葉に変える▽身内感を出さない▽注釈のリスクヘッジ▽しつらえの考え方-などを意識することが重要だ。
その他、企画書制作のやり方とポイントも伝える。 弊社で使っているテンプレートも共有する。また、弊社で使っているプロジェクトシートを共有し、使い方を教え、企画の実施をサポートする。

⑷ 広報のやり方
企画を作れば集客ができると勘違いをしている人は少なくない。 企画が良くても広報をしなければ集客は見込めない。極端な話、企画を当日行わなくても、広報が良ければ集客はできる。つまり、集客は広報次第だが、実際には広報に時間、お金をかけないケースが多い。
まずは、企画全体の作業を「構築」と「広報」に分け、企画構築が終われば、広報作業もしっかり行うことの重要性を理解し、広報作業への意識を高めていく。
広報全体の作業は「制作」と「届ける」に分ける意識をもつことが大切だ。
「制作」の分野では▽デザイン制作のポイント▽コピーの重要性と使い方▽デザイナーへの発注の仕方-などを伝えていく。
「届ける」では、無料、または安価で情報発信できる手法を伝え、コストパフォーマンスの高い広報のやり方を伝える。

⑸ 活動の始め方、進め方
活動が継続・拡大しない様々な理由を紹介し、その対策を伝える。
ノウハウは主に「考え方」と「やり方」である事を伝え、一番重要である考え方を軸に伝える。
例:最小人数で始めた方が良い/軸を固めてからメンバーを集める/一緒にではなく連携/ メンバーが増える事はマイナスから考える/行動の重要性/賛同は後からついてくる/自分の思いを押し付けない/プレイヤーの勘違い集、などについて伝える。

 

プレイヤー育成事業のご提案

これまでにも述べてきたように、行政は事業に補助金を出すより、事業を生み出すプレイヤーの育成を補助した方が、継続、拡大する活動が生まれ、地域活性化に大きく寄与する可能性が高くなる。
事業補助は成果、目標の設定が行いやすいですが、プレイヤー育成も成果、目標の設定は行いやすいです。
例:事業への補助⇒3件(目標)の事業(成果)を実施。
プレイヤー育成の補助⇒予算を与えず5件(目標)の事業(成果)を実施。